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2019.03.26 Tuesday

「静かに降りしきるなかで」

 

ものごころがついたのは

時間が理由ではなく

わたし個人の話です

 

冬休みに

天皇が亡くなったゆめをみて

なぐられたように目が覚めて

あわてて 父に伝えに行くと

テレビで天皇陛下崩御のニュースが

えんえんと 流れていた

わたしは七才で幼かった

 

いつも 今しか 生きていなくて

この ものごころの ほとんどは

へいせい、という時間のなかで

けいせい、されているけど

わたし個人の話にすぎない

 

海が 割れて

毎日たくさん死ぬ

 

知らないことは眩い

ひとびとのおおくは

破裂したときに

はじめて疑いはじめたのだろう

 

わたしに子供はいないが

つぎの時間の子供たちに

疑ってほしくはないし

安寧とさげすまれてもいいから

すきかってに歌っていてほしい

周囲を気にすることなく

なるべく瞼をひらいて

 

ひかりが降る

みんなが踊る

毎日たくさん死ぬ

 

ひたすらに詩を書いては

すきかって歌っていたし

悔いのないことではあるが

子供たちへ。

わたしは罪人でした

無知を恥じています

それ故に

夏の空とたがわない海も

おしつぶされそうなのだ

 

教室の隅で

ノートにこっそり綴った

変哲のない小さなてのひら

とおくから響く銃弾の音に

怯えながらも なお

こっそり綴っている

 

なるべく瞼をひらいて直視して、

めいめいに名前をそらんじて、

あたらしさを忘れないで、

 

つねに降りしきりながら

跨ぎながら産まれ続ける

 

(初出 2019.3.12 西日本新聞)

 

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