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2017.04.10 Monday

「綻びる」

 

見えない雨が降る日に

わたしだけの傘を持ち

散歩に出かける

 

長く住んでいても

まだ知らないことばかりの

町を去ろうとしながら

長く生きていても

まだ知らないことばかりで

命にしがみつきながら

新芽が立派な枝になり支えている

 

からだから あふれた愛が

立派な枝になり支えている

 

きみが きみを 愛するほか

なにが残されているだろうか

 

川沿いで

青を踏む子供らに

負けじと

青さを踏んでいる

脈拍が奏でている

 

人類が残された時間を

指折りかぞえはじめて

宇宙は薄くなりゆくが

そしらぬ顔で 堂々と

つぎの春のために

ほころんだ花を迷いなく落とす

 

 

(初出 2017.3.31 読売新聞)

 

 

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